横須賀市・葉山町・逗子市・三浦市の
訪問診療(在宅医療)・お看取り

秋谷潮かぜ診療所

お気軽にご相談ください

046-874-6695(代表)

在宅事務直通:046-874-8024
外来診療:9:00-11:00 / 訪問診療:8:00-17:00
外来診療日:月・水・金

理事長インタビュー


下川先生の目指す診療所について教えてください。

そうですね。主に3つあります。

1つ目は、患者様一人ひとりのニーズに寄り添って診療を行うことです。患者さんの思いだけではなく、ご家族の思いも大切にしています。例えば、学問上で正しい治療であっても、そのご家族や患者さんにとっては、他の選択肢の方がベストということもあります。私たちが心がけていることは、その方は「どうしたいのか」、つまり、患者様やご家族の思いに耳を傾け、そのニーズに寄り添った丁寧な医療を行うことです。

それから2つ目は、つながりを大切にしているということでしょうか。
イメージするならば、「都会にある村の診療所」という感覚を持っています。つまり、何でも相談していただけるような「よろず相談」ができる診療所でありたいと考えています。ご家族や患者様、それに地域の医療福祉職の方などが、「秋谷潮かぜ診療所に取り敢えず聞いて見よう」と思ってくださるような地域の方にとって身近な存在でありたいと考えています。決して敷居の高くない診療所というのが理想です。

3つ目は、社会貢献、地域貢献を行って行きたいと考えています。その一環として、これまで、地域の医療従事者向け勉強会を行ってきました。当初は、診療所を会場にして、医療知識を高めるための勉強会を行っておりましたが、最近ではコロナ感染症の影響もあり、WEBで勉強会を行っています。
我々が持っている知識などをお伝えすることで、地域の医療従事者の皆様と共に、社会貢献していければと思います。


患者さんと向き合う上で大切にしていることは何でしょうか?

2つあります。1つ目は、患者さんご自身とご家族が、何を望んでいらっしゃるか求めているかを察知して、実現していくことだと思っています。

訪問診療を始めた原点は、2008年に四国の山間部の診療所で働いていた時です。
人口が500人に満たない村で、車が入れず、山道を15分歩いかないとたどり着けない家に住まわれていた92歳のお婆さんがいらっしゃいました。そのお婆さんが圧迫骨折をしてしまい、退院後、独居の家に帰りたいとおっしゃられました。普通に考えたら大変難しい状況でしたが、医師である私も、医療コミュニティの方々も、方策を講じて、お婆さんを家に帰してあげることができました。

なぜ、そこまでして家に帰りたいと思われたかというと、亡くなられたご主人と息子さんのお墓が家の庭にあり、そこで生活したいんだと。本人が一番大切にしていることは、家にできるだけ長くいること。それをサポートしてさしあげることが私の仕事だと思ったことが、訪問診療を始めたきっかけです。今もその思いを大切にしています。患者さんが生活で大切にしていらっしゃることを優先していただいて、そのために、医療をどうすべきかを考えています。

2つ目は、安心を提供するということです。例えば、1ヶ月前から頭痛があった患者様が心配になったということで救急外来にお見えになられたことがあります。1ヶ月前から頭痛があるのに、昼間の外来ではなく、なぜ夜中に診療に来るのか…。
患者さんの話を伺い、安心したかったのだと感じました。夜中に診療機関に来るのは物理的にも大変なことです。それでも行こうと思ったのは、夜中に一人、頭痛が消えないことに怖さや不安を感じ「安心したかったから」だと思います。

我々医療者は、正確な医療技術を提供することが仕事です。患者さんやご家族は、加えて、安心したいという思いがあります。患者さんは、一言「大丈夫ですよ。検査もしているし、今日明日で死んでしまったりすることはないので大丈夫ですよ」という安心を求めている一面もあります。安心を提供するということは、医療職にとって大切なことです。
現在、医療は世界標準と言われ、世界中のどこへ行っても同じような治療をします。
世界的に認められている治療をという手段を使って、最終的に安心を提供するということに重きをおいています。


最後に、地域の皆様へメッセージをお願いいたします。

診療所ができて10年になります。患者さん、ご家族、もしくは施設スタッフの方々のニーズに寄り添い、安心を提供していきたいと思っています。地域コミュニティにとっては、足りない物を補う存在でありたいと思います。都会にある田舎の診療所でありたいですね。

たとえば、都会には家で認知症を抱えて悩んでいる方のかかりつけ医はいません。
ご本人が病院に行きたくないと言った場合、田舎なら村の先生が来ます。つまり、誰が最終的に、誰もやらない医療をするかが決まっているのです。都会ではそれが難しいのが現実です。色々な疾患を抱えた方は、複数の科に通っていても、総合的に見ているわけではないので、患者さんの生活を踏まえながらも、病気を纏めて見てくれる先生がいないという現状があります。

都会だと選択肢が多いですが、田舎でできていることができていない現状です。そこのはざまの人を診ることが、地域コミュニティに対する当院の役割だと考えます。
三浦半島で、他の病院や診療所がやっていないことを、やっていこうと思います。それが、医療の隙間を埋めて、トータルで三浦半島の医療水準を向上させていくことだと思います。

まずは何でもご相談いただいて、うちよりもベターな所があればご紹介しますし、当院にしかできないことであれば、ぜひ対応させていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。